テイルズ オブ アライズ レビュー

Tales of Ariseはバンダイナムコスタジオが開発したテイルズオブシリーズのマザーシップタイトル最新作。
ちょうどベルセリアが終わったあたりで発売したので、ベルセリアが面白かったし遊んでみるかーとテイルズを連続でプレイする感じになった。
ストーリークリアに55時間、プラチナトロフィーまで遊んで65時間だった。

ストーリー

鉄仮面

異星人からの侵略により、隷属を強いられることになった世界が舞台。支配者側がレナ人、隷属してるのがダナ人。
主人公は記憶を失った奴隷。外せない仮面を被っており、その風貌から鉄仮面と呼ばれている。あとなぜか痛みを感じない。
ある日、同族から追われていたレナ人の女性を助け「炎の剣」の能力を発現させた主人公は、300年続く支配を終わらせるため、抵抗組織と共に活動していく。

領戦王争(スルドブリガ)

ダナを5つの領地に分け、それぞれをレナ人の領将(スルド)が治め、ダナ人から抽出した星霊力の量を争っている。労働させると効率よく抽出できるっぽく、ダナ人は過酷な環境を強いられている。

主人公は隷属からの解放、ヒロインのシオンはスルドを倒すという利害が一致したため、一緒に行動する。

5つの国

ストーリーでは5つの国を順番に回っていく。ストーリー的にも区切りがあってわかりやすい。最初の国カラグリアが岩と砂の不毛の地、次の国シスロディアは極寒の上に朝がこないとかいう感じで見た目にも変化があって楽しい。

5領終わった時点のプレイ時間が30時間くらいで、そこからの展開にしっかりボリュームがある。この手の3Dゲーにありがちな、今までに冒険した土地で新たな問題が発生……という形で水増ししていくのではなく、ストーリー展開に相応しい場所にちゃんと広がっていくのが非常に良かった。

胃袋で思い出を記憶する女

ご飯が2倍ってことかしら?
私は構わないけど

仲間はダナとレナの混成パーティなのだが、300年の歴史などもあり前半~中盤くらいまでしょっちゅうギスギスする。あまりにも空気が悪いので、たまにコミカルなスキットがあると逆にどうしたの?ってなる。

ヒロインのシオンは荊の呪いに取り憑かれたレナ人。見た目はかなり好きなんだが性格が最悪すぎる。ギスギスの原因の半分くらいはこいつ。頭が沸いているのを腹ペコキャラで中和しようと試みているが、ちょっと厳しい。ゲーム内では胸を強調した服しか手に入らないので、DLCで制服を買い与えてやった。

リンウェルはダナ人の魔法使いの生き残り。レナ人を嫌悪しており、PT内のシオンにまで飛び火させまくる。ギスギスの原因の残り半分はこいつ。マジで、思い出したようにヘイトを撒き散らすのをやめてほしい。声優が気になって調べたらアイマスの本田の人で、アニメを思い出して最悪な気持ちになっていたのもよくなかった。

ロウはダナ人レジスタンスリーダーの息子。バカキャラなのに臆病で疑り深く、いちいち要らないことを言う。

キサラはパーティイン後お母さんキャラになるのと出身地のお国柄もあり、あまり突っかかってこない印象。

ふっ、我ながら罪なものを作る……

そしてアライズの清涼剤がこの男、テュオハリム。育ちの良さがにじみ出る超絶マイペースキャラで面白いし、立場を生かしたストーリー上の立ち回りも良い。

バトル

全滅した…

今作のバトルはかなり攻めた難易度だった。最序盤にその辺の犬に絡まれて全滅するくらい難しい。(画像は犬ではなくアルマジロ)

通常攻撃とAGを使用する技、BGを使用するブーストアタックを組み合わせて戦う。
通常攻撃は連続で3回まで出せる。3回殴った後のクールタイムが長め。連携数を増やすのが主な用途か。
AGを使用する技は地上3ボタン、空中3ボタンに設定できる。地上コンボで敵の体勢を崩し、昇竜で持ち上げて空中コンボに繋げるのが定石か。
ブーストアタックは控えを含めたパーティメンバーを呼び出すカットイン技。シオンは空中、ロウは硬い敵など、それぞれ対応した敵に当てるとダウンさせることができる。AGが回復する効果もあり、連携を繋げる目的にも使える。

焔の一振り

一定以上コンボを繋げるとQTEが表示され、強力なトドメの一撃「ブーストストライク」を発動させることができる。敵のHPが残り少ないほど必要なコンボ数が少なくなる。周りの敵にも大きなダメージを与え、メリットが大きいので雑魚戦では特にコンボ数を稼ぐのが重要。あと、ストストのカットインで戦闘が終わるとやたらかっこいい。

僕は中盤まで普通に主人公操作、途中で知り合いが「リンウェル操作が楽だよ」と言ってたのを聞いてリンウェル操作に。リンウェル操作は詠唱とチャージだけで退屈、接近戦でガンガン攻める方が楽しい!と思っていたけど、リンウェルは連携が繋がるほど詠唱が短くなるスキルを覚えるので、BGも利用して術を繋げまくると大技を連発できてかなり楽しかった。さながらROでブラギMSを連発しているようだ。

システム

毎日楽しい女学生

戦闘で経験値とは別にスキルポイントを得て、ストーリーやサブイベントなどでアンロックされるスキルパネルを埋めていくタイプ。スキルポイントはクエストでも入手できる。戦闘が大きく変わる要素も多く、選択が結構面白い。ちょっと変わった要素として、衣装DLCを買うことでしかアンロックされないスキルパネルもある。

装備は普通に買ったり宝箱から入手、武器はモンスター素材から作るものも多い。
アクセサリは採取した鉱石から作る。メイン効果以外に鉱石のレア度に応じたアフィックスがランダムで付与される。アフィックスは種類が少なく、任意のアクセサリに移植もできるのでトレハン要素としては弱い。

戦闘で入手する経験値はレベル補正を大きく受け、モンスターのレベルはクリア後含めて固定なので、ストーリーは基本的に適正レベルで進む。バトルの歯ごたえはあるけど、レベリングが雑になりがち。

釣り

釣りが結構凝った作りだった。
竿とルアーを選び、魚がいそうなポイントに投げ込み、ボタンの組み合わせで魚を誘う。ヒットした後は、動きに合わせてスティックを左右に倒したり、大きな動きにLRかR2で対応する駆け引きでゲージを削り切ると釣り上げることができる。揺れで魚が動く方向がわかるのはデュアルセンスの機能(ハプティックフィードバック)だったのかな?R2ボタンにアダプティプトリガーは採用されてなかった。
竿は純粋に性能、ルアーは有効な魚が決まっていて、組み合わせによって釣れる魚がほぼ決まっているので、ある程度順番に制覇していく感じだった。

エンタメのストーリーに道徳的テーマは必要か?

奴隷や人種みたいな重いテーマを扱っているのもあり、主人公の思想やセリフにかなり気を使っている感じがした。映画もそうなんだけど、作品には「伝えたいこと」が必要だと思われてそうなのが個人的には疑問。エンタメに教訓は必要ないし、伝えたいことがない人も創作していい。アライズのストーリーはアイディアだけでも十分面白かったし、内容の一貫性も素晴らしかったけど、ふとそう思った。

総評:傑作JRPG

グラフィック・音楽・キャラクターのモーション等、とにかく豪華に作り込まれ、物語も最後まで息切れせずに描き切られている。テイルズオブシリーズはにわかだけど、JRPGが好きならやっておいて損はない作品に仕上がっていると思う。バンダイナムコ、金あるな~。