『ライブアライブ』はヒストリア&SQEX浅野チームが開発、スクウェア・エニックスが販売するRPGで、1994年にスーパーファミコンで発売されたゲームのHD-2Dリメイク版である。7人の主人公によるオムニバスストーリーや独特のチェッカーバトルが特徴。クリアには30時間。
今回もちょっと書きたい与太があるので記事後半の内容はネタバレを含む。
目次
丁寧なリメイクで令和に蘇る伝説のゲーム
リメイク版の売りといえば、やはり豪華声優によるボイスの追加だろう。ライブアライブはとにかく名台詞の宝庫なので、声優の演技との相乗効果が大きい。主人公の名前を変更可能なのだけど、デフォルトネームを読んでくれると更に良かった。
敵ボスにやたら大物声優をキャスティングしているのも面白かった。近未来編は雲龍(千葉繁)シンデルマン(中尾隆聖)ヤマザキ(玄田哲章)という顔ぶれで、隠呼大仏との戦闘中にそれぞれ好き勝手に喋る。雲龍がめちゃくちゃ渋くて笑った。ストーリーに新しいテキストはないが、戦闘中のボイスとローディングTIPSに多少のフレーバーが追加されているのはファンにとって嬉しいポイント。
開発者インタビューによると、リメイク版の戦闘は目コピで作成されたらしい。僕はオリジナル版も何度かクリアまで遊んだことあるが、ほとんど違和感のない手触りだった。こんな感じだった気がする。でも、老狐の舞とか関節技の効果音だけ記憶と違った。もっとゲコゲコいってなかった?
ドット絵+リッチなエフェクトの演出に磨きがかかっている。ドットキャラと3Dオブジェクトと高解像度のテクスチャが混在しているゲーム画面、どうやって調和してんの?
ポリコレ配慮か、アニーのシミーズが日記に変更されていることなどが一部で話題になっていた。日記も勝手に見られたら怒るだろうし、イベントの流れを変えずにアイテム名だけ変更するアイディアとしてはかなり良い落とし所だと思った。
その他、ささやかな追加要素としてレーダーが表示されるようになっている。目的地の方向がなんとなくわかるため、特にSF編と原始編が簡単になった。
本作はオムニバスストーリーのため、2-3時間で1つの物語のクライマックスを体験できる。スーファミ時代のゲームだけど、意外と現代向けのサイズ感に仕上がってるんじゃないだろうか。
戦闘はチェッカーバトル
盤面に複数の敵と味方が配置され、射程や効果範囲の設定された技で戦う、シミュレーションゲームに近い戦闘。ターンは特殊なタイムライン制で、敵味方関係なくゲージの溜まったキャラから行動する。基本的には交互に行動することになるが、移動と射程の特性を使うと一方的に攻撃することもできる。具体的には桂馬の位置を維持すると相手はほぼ何もしてこない。面白かったけど、マス目がわかりにくいのだけは難点。
やりこみ要素の追加などはなし
クリア後は最終編の主人公に選んだキャラにクリアマークが付くが、クリア特典は無し。クリアデータの引き継ぎなどもない。発売前にも言っていたが、クリア後のダンジョンやSFC版になかった新しい装備なども追加されていない。ボリュームは少ないけど、これくらいで遊びきれるゲームがあってもいいかなという感じ。
28年越しの考察(ネタバレ)
まあ20年以上前のゲームのネタバレとか今更かもしれないけど一応。
中世編は勇者じみた青年であるオルステッドが親友に裏切られて王殺しの罪を負い、最後に誰よりも自分を信じると言われた姫にも裏切られて全部嫌になっちゃって、それじゃ本当に魔王になってやるぜという話(超略)。
オルステッドくんは未練たらたら男なのでラスボスになった時に「セントアリシア」という技を使ってくるんだけど、リメイクで演出が超パワーアップしてるので1回は見ておくのをオススメ。僕は最初倒したとき1回も使ってこなかったので、わざわざやり直して見たら叫び声がめちゃくちゃ長くなってて笑った。
ここからは本当にリメイク版のネタバレなんだけど、実はオリジナル版のベストエンディングの条件を揃えてラスボスを倒すと、追加要素の「シン・オディオ」が出現する。配信禁止区間なのでスクショは撮れないけど、これは与太ではない。すごい嘘っぽいが。
シン・オディオは特に強いわけではなく、イベント戦闘という感じ。イベント中でオルステッドは「オディオ」から分離し、自らの意思で「憎しみ」と決別する。これが公式の答えなのかー。
個人的にはアリシアからの理解なしにオルステッドが救われることはないと思っていたので、なんか、そうかーって感じ。というか、理解って言ったけど僕が欲しいのはクソ女からの謝罪ですが…
そしてシン・オディオを倒した後に、なぜかオリジナル版のオーラスであった主人公からの説教が入るので、内容が前後して微妙な気持ちになった。
ところで、最終編でアムルクレチアを倒すとローディングTIPSが追加されるのだけど、アキラのTIPSで心のダンジョンについて言及され「閉ざされた心は何度も開かない」と表現されているのが気になった。心のダンジョンが誰かの心とか考えたことはなかったな、心が読めるから心のダンジョンくらいに思っていた。
ルクレチアに残された人間はオルステッドただ一人なので、心のダンジョンはオルステッドの心なのでは?そうすると、心のダンジョンにいる人のセリフは、オルステッドの想像とか願望ということになる。
心のダンジョンのアリシアが「どうか止めてください…」とか調子のいいこと言ってんなこのアマと思っていたが、これはオルステッドがアリシアに言ってほしかったセリフなんじゃないだろうか。何せ、自分の技にセントアリシアとか名付ける男だ。
そういうこともあって、個人的にはシン・オディオと対峙した時にオルステッドが一人で立ち直るのが違和感あった。今風のラストではあると思うけど。
総評:プレイ時間もコンパクトでオススメしやすい名作
原作のプレイ感を損なわず、演出が大きく強化され、理想的なリメイクに仕上がっていた。やはりスーファミ時代のゲーム性は心地よく感じる。スクエニはHD-2Dリメイクにもっと力入れていいのよ。