『ファイアーエムブレム 風花雪月』はインテリジェントシステムズとコーエーテクモゲームスが共同開発、任天堂から発売されたシミュレーションRPG「ファイアーエムブレム」シリーズの最新作。
発売当時に紅花ルートをクリア(50時間かかったので結構満足した)、DLC発売時に煤闇と蒼月をクリア、そして無双発売を前に翠風と銀雪をクリアして遂に全ルートを制覇した。
クリアデータを並べると壮観!ノーマルカジュアルでフリー戦闘などはおまかせを使い、2周目以降は講習メインで進めても186時間かかった。どのルートも見どころがあり、全容を知ると更に満足感が高い。記事後半ではフォドラのただしいれきし(ネタバレ)を紹介する。
目次
ゲーム概要
主人公は傭兵上がりの教師となり、3つの学級から1つを選んで担当する。覚醒からおなじみとなったカジュアルモードが搭載されていて、SRPG初心者にも優しい。ゲームはカレンダー式の学園パートと月に1度のシナリオ戦闘パートで進行する。第一部は士官学校の先生として全ての学級の生徒と交流をしながら1年間過ごし、第二部で自分の担任だった学級以外と丁寧に殺し合うシナリオが特徴で、道徳0点などと賛美されている。シナリオと支援会話はフルボイスで凄まじいボリュームがある。
百合支援もあるよ。
学園パート
生徒ごとに指導内容を設定し、剣や魔法などの技能レベルを上げていく。技能レベルが上がると戦技や魔法、パッシブスキルなどを覚えるほか、クラスチェンジにも一定の技能レベルが必要になる。指導内容はおまかせにすることも可能。
生徒への個別指導と別に、週1で散策・休養・講習・出撃のうち1つのコマンドを選択できる。散策はガルグマク大修道院の3Dマップを駆け回り、食堂やサウナなどの施設を利用したり、生徒と交流を行うことができる。ショートカットから各施設や生徒に直接飛ぶこともできるが、大修道院が探索できる3Dマップとして用意されていることがゲーム体験のリッチさを担保している。休養は生徒全員のやる気が上がり、指導の効率がよくなる。講習は講師に応じた技能レベルが上がる。休養と講習は一瞬で日付が進むのが利点。出撃はフリーマップで戦闘を行うほか、外伝イベントが発生してる場合もこちらから出撃することになる。
指導方針を生徒に相談されることもある。
クラスチェンジ
今作では技能レベルによって兵種を獲得し、クラスチェンジによってベースレベルが1に戻ることはない。ドラゴンマスターの槍・斧・飛行など、最上級職では複数の技能を高いレベルで要求されるため、計画的な育成が必要になる。因みに、最上級職に転職可能になるのがベースレベル30のため、40が最高だと思われがちだが、99まで上がるらしい(流石に上げたことない)。
戦闘パート
自軍フェイズと敵軍フェイズに分かれ、パラメータや兵種に関係なく好きな順番でユニットを動かせるタイプ。今作の特徴として、ユニットごとに騎士団を配備することができるようになり、戦闘のスケール感が上がっている。もちろん雰囲気だけでなく、騎士団に紐づいた「計略」もバトルにアクセントを与える面白い要素になっている。計略は使用回数が決まっているマップ兵器のような感じで、敵も使ってくるため格下が相手でも油断できない。
長射程の投石機や援軍などマップギミックが豊富で、1体ずつ射程に入って釣って倒す戦法が取りにくかったり、攻め方がワンパターンになりにくいように工夫されているように感じた。大型の魔物が登場するのも倒しがいがあって良い。
確かにファイアーエムブレムであると唸らせるストーリー
風花雪月の舞台「フォドラ」では紋章が大きな役割を持っている。紋章は血筋によって(確率で)受け継がれ、宿したものは身体能力が向上するなどの力を持つため、紋章を持つものを中心に貴族制度がしかれていた。そんな中、出自不明の傭兵である主人公が、失われたとされる「炎の紋章」を持っていて…?というお話。女ユニットが多いのも紋章持ちの嫡子が士官学校に送り込まれているからだよ!
風花雪月のプレイヤーは最初にプレイしたルートを正史だと思い込む(要出典)と言われているが、公式に正史は存在しないし大団円ルートもない。ここにあるのは丁寧に舗装された地獄への道だけだよ。
紅花はエーデルガルトの覇道をサポートし、大いなる力と決別するルート。見どころはクロードの命乞い。蒼月は病んでしまったディミトリをみんなでよしよしするルート。最終的にフォドラに何の影響も与えずに終わるのが特徴。翠風はクロードと共にフォドラの歴史の真実に迫り、闇に蠢く者と決着をつけるルート。ラスボス戦も盛り上がるし満足感が高いのでオススメ。銀雪は3人の級長誰にも与せず教会の味方をするルートで、物語は翠風のコンパチ。セテスがクロードと同じ策を使ったりして面白いので一見の価値はある。
あと銀雪は級長がいない関係上グロンダーズの会戦に参加しないため、ディミトリがナレ死する。
総評:傑作
今更だけどこのゲームは傑作です。作り込まれた世界観、奥深い育成、要素の増えた戦闘、そしてコーエーの参加で戦記物としてもパワーアップしている。次回作もコーエー先生が作ってくれ。
特別付録「フォドラのただしいれきし」他(ネタバレ)
神祖ソティスは人類に知恵を与えたが、繁栄した人類は互いに争いばかりするため、ソティスは一旦人類を滅ぼした。この時滅ぼされた「アガルタの民」の生き残りが、本編に出てくる「闇に蠢く者」である。
ソティスは自らの血から作り出した眷属「ナバテアの民」と共に新たな人類を創造し、自分は聖墓にて眠りにつく。盗賊ネメシスはアガルタの民に唆されソティスの墓を暴き、その血を飲んで「炎の紋章」の力を宿し、心臓と遺骨は「天帝の剣」に加工した。ネメシスはその力でザナドに住むナバテアの民を虐殺し、眷属たちの心臓と遺骨を仲間の盗賊たちに分け与えた。これが「英雄の遺産」と「フォドラ十傑」の真実である。
女神ソティスの末っ子であるセイロス(大司教レア)は、マクイル・インデッハ・セスリーン・キッホルの四聖人と共にアドラステア帝国を建国し、民に力を授ける。このため、帝国出身のキャラは眷属から正当に授けられた紋章を宿し、王国と同盟のキャラは眷属から奪った紋章を宿していることになる。それだけ懇意にしてやった帝国が眷属を討伐するとか言っちゃうから、赤ルートではレアさんがあんだけキレてるんですね~。
そしてセイロスは帝国民と共にネメシスを討ち、なんかやべーグロい設定の十傑とかを適当に取り繕って現在の歴史となっている。
レアさんの行動理由について
レアはソティスの紋章石(心臓)を主人公に移植し、ソティスの現身としようとした。レアが「お母様」の復活に執着する理由、それは「末っ子だから」に間違いない。1000年以上生きてるババアでも末っ子は甘えん坊でワガママ!わかったかい?
フォドラの虫大全
ソティスが滅ぼす前の人類「アガルタの民」は、現代社会と変わらないような水準の科学技術を持っていたということがゲーム内で示唆されている。実際、アリアンロッド攻略後のムービーなどで見られる「光の杭」はどう見てもミサイルである。つまり、主人公たちの敵として描かれる「闇に蠢く者」は限りなくプレイヤー側に近い存在ということだ。しかし、闇うごは多くのルートで殲滅され、フォドラの文明は新たな人類に置き換えられることになる。ファイアーエムブレム風花雪月は、俺らが神祖ソティス率いるファンタジー世界の住民に敗北するというサイエンスフィクション的な面を持ち合わせていたのだ。FEといえばラスボスは邪竜!邪竜はソティス!
という感じで、非常に楽しめました。無双の物語も楽しみ。