『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』は、日本一ソフトウェアより開発・発売されたダンジョンRPGで、大傑作であった『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』の正統続編である。
前作が非常に面白かったので、すぐに続編のこちらもプレイしたい!……と言ってから、2年の歳月が流れた。セール民なので、セールを待っていたのだ。
トゥルーエンドに60時間、グランドフィナーレに100時間と長丁場だが、ストーリーは特に見ごたえがあった。
目次
ゲーム概要
主人公のユリィカは魔女様のお手伝いとしてガレリア宮を訪れ、プレイヤーの分身である降霊灯と共に迷宮を攻略し、奇品を集めることになる。「カヴン」を5組編成し、最大40人にもなるPTでダンジョンを攻略するのが本シリーズの特徴。探索パートはオーソドックスなグリッド制の3Dダンジョンに、固有リソースを消費しての壁破壊などのユニークなギミックを足したものとなる。ストーリーは前作に引き続き、ショッキングなシーンが多い。一番グロかったのは、ユリィカがねやごとについて言及するところ。
探索は趣向を変え、ややスケールダウン
前作で何があったかはっきり覚えていないが、今作ではハイジャンプや潜水など、探索スキルが大きく増えている。ルフランのように数多世界を旅しない分、スキルによって探索部分を広げていく楽しみにゲームデザインを寄せている感じだ。今作は「奇品」の発見が目標となっているため、マップの全てのセルを開けるくらいの丁寧な探索を求められる。マップの踏破報酬なども用意されているのは噛み合っていて良かったが、壊すべき正解の壁1セルを引くまでストーリーが進まなかったり、やや窮屈な面もあった。マップを注意深く見ればわかるのだが……ハイジャンプのポイントは壊せない壁と全く同じなのでやっぱりダメかも。
物語の中盤からは、打って変わって入る度に構造の変わるダンジョンを攻略することになる。ランダムで出てきた構造は階段まで繋がっていないこともあり、壁壊しのリソースを宝探しやショートカットに使うか、温存しておくかなどの配分がちょっとしたアクセントになっていた。進むだけ敵が強くなり、落ちているアイテムも良いものになる純粋なハクスラもシンプルに楽しめた。
そしてランダムダンジョンを突破したら再びガレリア宮へ、探索済みの場所へ再び赴き、イベントを見る……だけ?なんだか流れが変わってきたぞ。どうやら、アートブックのディレクターコメントを読んだ感じでは、数多世界を冒険する予定が工数の都合で流れたようだ。僕はランダムダンジョンでも十分楽しめたんだけど、探索済みの場所に2度3度と行ってイベントだけ見る展開が多いのはややダルかった。
クリア後には3651階層からなるランダムダンジョンを攻略する。これは個人的にはかなり楽しめた。アップデートが入って緩和されたらしいが、もっと長くてもよかったくらいだ。
戦闘は概ね代わり映えなし
戦闘はカヴン単位でコマンドを入力、ピアフォートレスは防御、ドナム系ファセットはドナム(呪文)、その他は通常攻撃を基本的に行っていく。新規要素に「秘紋解放」と「ミラマキーナ」があるが、通常攻撃に劣るため、ほぼ使うことはなかった。中盤以降、というか二人以上編成できるドナム系結魂書が手に入った辺りから攻撃系ドナムが狂った威力とコスパになり、適当に霧を撒き散らすだけで全ての雑魚戦および強敵シンボル戦が終わるようになる。ストーリー上のボスなどは属性攻撃に耐性を持っているため、その時だけは物理系ファセットがはしゃぎだす。また、前作でインパクトの強かった「おっぱいテロル」は今作には存在しないっぽい?ERS特化アタッカーを序盤から用意していたのに、結局輝くことなく終わってしまった。うおー、おっぱいテロルさせろ!
育成はやや便利になったが、欠点が目立つ
物語の途中で追加される4種類を合わせた12種*2タイプのファセットから職を選び、性格や成長タイプなどを決めてキャラクターメイクする。レベルの上がったファセットは「魂移し」をすることで、全てのスキルを引き継ぎ、更に転生回数によってステータスにボーナスがついた状態で更に育成することができる。前作は確か引き継ぐスキルを選ぶとかいう感じだったと思うので、これは嬉しい点。装備品はダンジョン内で拾ったり、敵がドロップしたりする。装備品にはランダムでレアリティや二つ名がついており、同じベースでも性能はかなり幅広い。余った装備は錬金でレアリティの高い装備の強化に使える。育成・トレハン共に理想的な要素が揃っていると言えるだろう。
しかし、レベリングは非常に楽しいのだが、魂移しというやりこみ要素は最大40キャラでPTを編成するこのゲームの仕様とは合ってないと感じた。まず、UIの問題がある。魂移しをする画面では対象キャラのステータス画面を開くことができず、ファセットの履歴を確認できないので、1つ前の項目に戻ってメインメニューを開き直す必要があるのだ。そして、魂移しをしたキャラは転生前に装備していたスキルが全て外れてしまっているため、再セットアップする必要がある。スキルは転生回数に応じたスキルポイントの分だけ装備できる形になっており、初期に選んだものや今就いているファセットのスキルは必要なポイントが大きく割引されるなどの仕様がある。そのため、転生前と全く同じ装備スキルまで引き継ぐのはスキルポイントの関係で難しかったのかもしれないが、それならせめてスキルのマイセット的なものを保存できるなどの手段が欲しかった。スキルソート機能が使えたもんじゃないのもよくなかった。ちなみに、1回しか使わなかったがカヴン編成は保存できる(不可破りで使った)。この、転生履歴を確認して魂移しを行い、現在の編成に合わせてセットアップ……を40人分行うと、なんと1時間かかる。追加ダンジョンに潜っている時などは1回帰宅すると帰還ボーナスを含めてほぼ確実に全員レベル99になるため、その度に1時間セットアップしなければならない。トゥルーエンド後のプレイ時間のほとんどはこの時間であった。レベル99までの必要経験値を多くして、能力アップに必要な転生回数を減らしたりはできなかったのか?
もう1つ問題がある。育成やトレハン要素が充実しているのは良いのだが、戦う相手(ボス)がほとんどいないのだ。数少ないストーリーボスは手応えがあって非常に良かったが、グラン・カテドラルに至っては、その長い道のりの1階と3651階にしかボスがいない!せっかく365階毎に落ちている装備品や敵の強さが変わっていくのだから、その周期でボスが出てきても良かったのでは?
物語は非常に素晴らしい
ダンジョン内に物語がなくなったのはやや残念だが、メインストーリーがここ最近プレイしたゲームで最も面白かった。ババアとペリコのコンビが本当に良い。
Good
- 引き込まれるようなストーリー。
- かわいいキャラクター。
- ハクスラの楽しさ。
Bad
- いまいちな新規要素。
- ダンジョンのバリエーション不足。
- 魂移しが面倒すぎる。
- スキルフィルターやソート機能が不十分。
総評
物語の面白さ、キャラクターイラストの量と質、ハクスラの楽しさは特筆するものがある。しかし、システム面での課題が非常に多く、完成度が低い印象は否めない。偉大な前作があるため厳しめの評価になってしまったが、DRPGとしては良作の部類に入るだろう。
ルフランと続いてツボにハマったため、泉ディレクターの作品が好きなのだと認識したが、氏は既にNISを退社しているそうだ。魔女シリーズの続編は絶望的なのか……。魔女百も近いうちにプレイしてみたい。