ストーリーについては別記事。(あんまり長くはならなかったけどネタバレなので)
目次
ゲーム制作とは、1%のアイデアと99%の物量
ファイナルファンタジーVII リメイク(以下FF7R)の特徴といえば綺麗なグラフィックだろうか?もちろんそれもあるけど、僕が感じたのは圧倒的な物量だった。FF7Rの本質は「作り込めるところは全て作り込んだ」という所にあると思う。
僕は海外のAAA級ゲームはやってないんだけど、今後国内でここまでのゲームが出ることは、FF7Rの続編が出るまではないんじゃないかなーとすら。それくらいマジで桁違いの作り込みがされている。これを見たら最近やった他ゲーの棒立ち会話や共通モーション、雑なロケーションやカメラワークが気になって仕方なくなった。同じ素材を使い回すとプレイヤーは気になるもの、できれば全て個別に作るのが望ましいが、予算などの問題でそうもいかないのが現実だろう。それを物量でカバーし、全てにおいてベストを目指したのがFF7Rである。
贅沢に使われるマップ
FF7のミッドガル編というと、ほとんど一本道で何度も訪れることになる場所は少ない。その「一度行ったら終わり」のマップの作り込みが半端ない、使い回されているマップが(実感出来るレベルでは)存在しない。
マップといえば美術の作り込みもすごい、単にグラフィックが繊細という話ではなく、オリジナル版FF7の若干ケレン味のある要素を高解像度の世界に上手く落とし込んでいる。魔晄炉などのマップもかなり広くなっているが、なんだか見たことのある光景が出てきて嬉しくなっちゃう。
物量で描かれる生活感
圧倒的な物量で作り込むことで、本当にキャラクターが生活してそうな空間を描いている。話しかけられるNPCは少ないが、ガヤガヤと何かを話しているのに耳を傾けることができる。イベントが進むと変わる会話内容もかなりのパターン用意されてそう。僕が気に入ったのは神羅ビル内部で、深夜だから社員は少ないんだけどめっっちゃ広くて普通にリフレッシュスペースっぽかった。整然と並べられた椅子は蹴っ飛ばしまくった。椅子を蹴っ飛ばし放題だったのが気に入っただけでは?それはそう。
目が離せないイベントシーン
全ての会話にボイスがついているのは当たり前、ちょっとした会話シーンでもキャラクターの動きや表情から目を離せない。マジでどんだけモーションを収録したんだ?とにかくそのシーン専用の固有モーションみたいなのが多い多い。
「なんでも屋クエスト」は全体から見ると些細
一部でクエストによってボリュームが水増しされていると言われているみたいだが、まあ多分こういうこと言ってる人は実際にゲームをプレイせずに「なんでも屋クエストなるものがある」と耳にして想像で言ってるだけだと思う。それだけ、全体のボリュームに対して「なんでも屋クエスト」の分量は些細なのである。FF7Rはクエストでプレイ時間を水増しした訳ではなく、純粋にストーリー部分の掘り下げが非常に多い。というか、クエスト自体もそれぞれフルボイスのストーリーがある。
ほぼ全てのシーンに専用の曲
サントラ七枚組というのを見た時はふざけてるのかと思ったけど、誠実に最高のゲームを作ろうとすると、そうするしかなかったというのが答えだろう。FF7RのBGMはシネマティックに展開し、ゲーム的に盛り上がる。キャラテーマなどのオリジナル版メロディの使い方が上手すぎる曲ばかりで馬鳥になってしまった。あの曲!この曲だ!ってわかるんだけど、シーンに馴染みすぎている。天才の仕事である。
そんな感じで、作り込みにおいて現時点で右に出るゲームはなかなか無いのでは。少なくとも僕はやったことなくてびっくりした。
では、ゲームプレイについてはどうか。
原作を生かしつつ、懐の深いゲームプレイ
戦闘はアクションで、ATBが貯まるとアビリティや魔法などのコマンドを入力できる。通常攻撃しながらクールタイム毎にアクションを使う感じの最近よく見るシステムに近い。エフエフでいうと14みたいな感じ?あんなに忙しくはないけど。
FF7Rは自分で通常攻撃(たたかう)をしないとATBがなかなか貯まらないので、その間に敵の攻撃を避けたり、ガードしたり……というのが加わって、ちょっと複雑かもしれない。ゲームモードをクラシックにすると、そのへんはオートでやってくれてコマンド入力するだけになる。
戦闘のリトライがわりと優しく、戦闘の直前からノーリスクで再開できるので、みやぶるマテリアで敵の弱点を調べて、セットアップしてから再戦……とかしていた。まあ連戦の途中から再開だとHPMPも減ったままでどうにもならない感じだったけど……。
難易度は結構高く、僕は途中までノーマルでやってたんだけど神羅ビルあたりからクラシックにしてしまった。クラシックでやるのも、それはそれで楽しいと思う。ボス戦が多くてバトルが長めなので、ストーリーをとにかく見たい人とかも難易度下げた方がいいかも。
大きく変わらないマテリアと今風の武器システム
FF7Rの成長要素はレベルと武器、マテリアの3種類。
マテリアはオリジナルとほぼ同じで、マスターしても増えないくらいかな。戦闘がアクション寄りになっているので、同じ効果でも使い勝手が結構違う印象。
武器の成長システムは今風で、レベルアップや特定のアイテムを手に入れることで増えるポイントを使って武器固有のスキルを成長させていく。最初のバスタードソードも後半の武器に劣らない性能として使い続けることができる。釘バットはクリティカル関係のスキルが多い、ミスリルソードは魔力が伸びるなど、それぞれ個性がある。新しい武器を手に入れると武器固有のアビリティを覚えることができて、アクション面も幅が広がる。
どのキャラを動かしても面白い!
ストーリーの進行上どのキャラも1回は動かすことになるんだけど、それぞれ違った戦闘内容になって面白い!クラウドは剣で連続攻撃、バレットは遠距離、エアリスは魔法中心、ティファはなんかちょっとよくわからん、みたいな感じ。エアリスはいのりで回復……とか思ってたら、アビリティの「聖なる魔法陣」を使うと攻撃魔法を2連発できて圧倒的な破壊力を出してきてびびった。このゲーム、敵の弱点属性で攻撃することがかなり重要。
ミニゲームもブラッシュアップ
スクワットなどの原作ではフレーバー程度だったミニゲームが、ちゃんと遊べる感じにブラッシュアップされている。どれもトロフィー関わってるのはやりすぎ感あるけど、トロコンにはもっと大きな壁があるので……。
ストーリーは1本道だが取り逃しに優しい
チャプター毎に行ける場所は限られているが、貴重なマテリアなどの取り逃しがあると教えてくれたり、後にまた回収できたりするので、思うまま適当に遊んでても大丈夫。
プレイヤーの操作スキルと準備がバランス良く要求される優等生
目新しいシステムに見えるが、実際に触ってみるとそこまで尖ってない感じかなーと思った。僕としてはもっと育成要素の天井が高い方が好みだし、バトルのアクションがもっとシビアな方が好きな人もいるだろう。という感じで、ゲームプレイ部分に関してはそこまで刺さらなかったが優秀な出来ではあると思う。
JRPGでこのクオリティを遊べるのが嬉しい!
僕が海外のAAA級タイトルをプレイしていないのって、やはりJRPGの世界観とかキャラクターが好きなのが大きい。次点は英語で遊びたくないから。とはいえ前述したように、このクオリティが日本のゲームの標準になることは10年経ってもないだろうと思う。なので、FF7というJRPGのアイコニック的な存在を凄まじいクオリティで遊べるのは特別なことだった。いや、オリジナルのFF7にはそこまで思い入れはないんだけど……ストーリーも忘れてたし、好きなキャラはユフィです。
解像度が上がったのはグラフィックだけじゃない!
実はFF7Rをクリアした後にオリジナル版(インターナショナル版)を5時間ほどプレイしてみたんだけど、キャラクターのセリフが思ったより全然なくてびっくりした。FF7Rはとにかくキャラクターが喋る!オリジナルの100倍以上セリフがあるんじゃないかな。移動中とかも騒がしいくらい喋ってくれて、これでもかとキャラクターが掘り下げられる。よくもまあこれだけキャラクターを膨らませることができたなと感心した。バレットはなんかおもしれーやつになってるし、リメイクのエアリスは死んだら普通に泣いてしまうかもしれないし、ティファはえっちが好きそうだ。アバランチのメンバーにもバックグラウンドが設定されて、ミッドガルの一連のイベントに説得力が出ている。
ストーリーは30時間ちょい
公式でも言っていた通り、今作は神羅ビルを超えてミッドガルから脱出するところまでが収録されている。僕は33時間でクリア、クエストは1つわからなかったのでスルーした。ストーリークリアでこのボリュームなら結構なものだと思うけど、バトルの占める時間が結構長めかも。クリア後はバトルをさらに楽しめるやりこみ要素も存在する。僕はクラシックでクリアしたのでちょっと無理そうだが……。
追加のストーリーは魔晄炉襲撃の準備に関するものだったり、ウォールマーケットの探索を膨らませたりしたものとか。ミッドガルを魅力的に描いていて面白いと思う。あと、オリジナルだと1画面しかなかったマップが結構ちゃんとしたダンジョンになってたりする。ただの通路の背景だったアームがギミックになってるのは、後でオリジナルをプレイして「あったー!」となった。けど、諸事情で何度もやることになるのは面倒だった……。
今遊んでおくことに価値がある大作
実はあんまり期待してなくて予約もしてなかったんだけど、ノリで購入して本当によかった!こんな金のかかったゲーム体験はなかなかできないよ。