FANTASIANは『ファイナルファンタジー』の生みの親、坂口博信が設立したミストウォーカーによるジオラマアドベンチャーRPG 2021年9月現在はApple Arcade限定配信となっている。
前編・後編と分けて配信され、現在はストーリーを最後まで遊ぶことができる。僕はサブクエを多分全て終わらせ、装備もばっちり強化して55時間でクリア。60時間級とは聞いていたけどなかなかのボリュームだった。
目次
そもそもアップルアーケードって何?
広告や追加課金なしでゲームを遊べるサブスクリプションサービス。200を超えるゲームが配信されているらしいが、ラインナップは海外寄り。
月額は単体600円だが、Apple Musicを含めた4つのサービスがセットになったApple Oneが1100円なので、Apple Musicを使っている場合は差額の120円で遊べるということが決め手になって加入してみた。他の2つはApple TV+とiCloudなんだけど、Apple TV+って何があるんだ。
とりあえず今の所ファンタジアンとバリアスデイライフくらいしかやってないけど、そのうちドラキュラが来るらしいのでもう少し継続する予定。近日登場とか言って1ヶ月以上粘ったら訴えるぞ。
ストーリー
主人公は記憶を失った青年・レオア。
レオアを助けてくれた少女キーナ、レオアが記憶を失う前にナンパしていた王女シャルルと共に記憶を取り戻すための旅をする。ワープマシンや機械世界とか出てくるけど王家が国を治めていたり、砂漠を走るデカい豪華客船が存在したり、文明や生活レベルが謎のハイ・ファンタジー。
キーナがエアリスの焼き直しみたいなキャラなのと一本道なのもあって、前編はFF7感が強い。王女様のシャルルがかなり面白い女で、ストーリーをグイグイ引っ張っていく。
後編は世界を自由に探索できるようになる。ストーリーのガイドは一応表示されているが、自分で行く所を決められるとゲームを遊んでいる感がかなり違う。FF6.5を目指していたという話だけど、まあこれは確かに今風のFF6かもしれない。
特別面白いストーリーというわけではなかったけど、サブクエ含めて気持ちよく完結するのは良い感じ。キーナとシャルルとレオアの関係の行方については「何見せられてんだ……」ってなった。
戦闘
戦闘はタイムライン制。クロノ・トリガーみたいに技に軌道や範囲があるタイプで、敵味方はきっちり左右に分けられるので直線技で複数の敵を巻き込みやすい。敵指定じゃなく地面指定なので、微調整でかなり巻き込める数が変わって楽しい。
ディメンジョンバトル
今作の発明。ランダムエンカウントした敵をストックするシステム。溜めた敵は専用の空間で好きな時にまとめて戦闘することができる。10匹くらいの敵と同時に戦うことになるけど、攻撃を当てると味方の攻撃力が上がったり再行動できるようになるギミックが配置されるので意外となんとかなる。
敵のサイズによって配置される場所にある程度傾向はあるものの、毎回ランダムで配置されるのでエイミングを用いた戦闘が作業になりにくい。
ボス戦
ボスはそれぞれ特徴的なギミックを持ち、適切に処理しないと突破は難しい。味方にかけられた毒を食らってパワーアップするボスや、周りに浮いた岩でガードしてくるのでタイミングよく攻撃しないといけないボスなど様々。
後編はストーリーやクエスト毎に推奨レベルが設定されてるんだけど、推奨レベルを満たしてようやく上手く戦えば倒せるっていうレベル。公式でも動画が公開されているシャインダークネスはかなり苦戦して結局全員に光闇両方の耐性アクセを装備させて突破した。
ボス戦は面白いんだけど、戦闘時間が長くなるので敵の大技の処理に失敗して全滅すると辛い。ラスボス戦はかなり緊張した。
1ターンが重い戦闘
バトルメンバーが3人なので1ターンがかなり重く、どれだけ回復の手数を減らして攻められるかが重要。味方にヘイスト、敵にスロウまでやると味方に回ってくるターンが増えてかなりのアドバンテージがある。しかし、何ターンもスロウがミスしたり、そもそも無効だったりするので常に有効な戦術というわけでもない。敵に合わせてガンバッテ!ってことだね!
後編からは戦闘中にバトルメンバーをターン消費なしで交代することができる。キャラクターによって使える属性も役割も違うので出しやすいのは嬉しい。バフの管理が結構大変になるが、まあガンバッテ!ってこと。
成長
前編はオーソドックスにレベルアップで特技を覚えていく。後編は固有イベントをこなすとキャラクター毎に成長マップが解放され、レベルアップやアイテムで得たスキルポイントを振って自由に育成できるようになる。
成長マップはノーコストでリセットできるため、ボス毎にセットアップしたり気になるスキルを試しに取ってみたりが気楽に可能。
装備
武器、防具、宝石と神器があり、武器と神器はキャラクター固有。宝石は成長マップでスキルを取得すると2つまで装備できるようになる。画像の通り、装備にはそれぞれアビリティがついている。後編からは武器と防具を強化できるようになり、強化の段階によってアビリティも上位のものになっていく。強化用のアイテムは宝箱から回収したり、あとはなぜかラストダンジョンの雑魚が全種類落とす。
レベリング
一定のレベルに達すると敵から入る経験値がレベルの補正を大きく受けるようになる。レベルを上げやすく上がりすぎないので、ボスと歯ごたえのあるバトルができるのは良いが、詰まった時にレベリングで突破しにくい。
ジオラマ世界は独特な質感
ファンタジアンの特徴は、手づくりで制作された150近くの「ジオラマ」の上を探索すること。
確かに他のゲームとは違った印象だなーという感じ。
ゲームとしての手触りはというと、カメラワークが固定で、見えない所に近づいてみるとカメラが回転して宝箱がある!みたいなパターンが多用されていて隅々まで見て回るのが楽しい。
しかし、移動操作は劣悪と言わざるを得ない。スマホでの操作は画面内をタップして移動か、マップを開いてピンまで移動のみで、バーチャルパッドは用意されていない。正直10分くらい触って移動だけで心が折れてしまった。
パッド操作はかなり最適化されている
ヒゲが配信番組で4K対応してるよとか言ってたし、思い切ってApple TV 4Kを導入してみた。
アナログスティックの移動は遥かに快適で、メニュー画面もパッド操作に最適化されていた。まあ、カメラが勝手に動くので結局パッドでも多少歩きにくいけど。
Apple TVとかいうやつ、スリープから戻る度にパッドのペアリングを求められるのだけは面倒だったが。なんか上手くやる方法があったんだろうか。
BGMはゲーム音楽の良さを再認識できる名盤
FFのBGMで育ってきたので魂に染みる。ゲーム音楽を1本担当するのは最後かもしれないと言ってたけど、ノビヨがゲーム音楽を作らないのは人類の損失なので死ぬまで作ってほしい。物理版のサントラを買ったんだけど、ブックレットで全ての曲にコメントしているのが面白かった。中ボス戦「戦いの使命」は変わったバトル曲なんだけど「多国籍な曲を入れると世界観が広がる」みたいに言っていてなるほどなーと。バトル曲の種類がかなり多く、なぜかコミカル系のイベント戦闘曲が2種類もある。アレンジは本人がしてるのか知らないけど、ラストバトルに入るシンセリフは完全にこれだよこれ!って感じでガッツポーズ。ラスボスのBGMは4曲もあり、たたかうを選ぶだけの最後のイベント戦闘に4分もある曲があてられている。贅沢か。
終盤のボス曲をコピーしたのでよかったら聴いて。
プレイ時間の大半は戦闘
完全ノーボイスなのでシナリオはサクサク進み、ストーリーもそんなに長くない。
キャラクター毎に個別のエピソードはあるものの、最近のゲームとしては掘り下げが足りないかなーという気がした。ボイスがないので戦闘中の掛け合いもないし、移動中に会話もない。それで55時間遊んでたので、かなりの割合が戦闘だったと思う。
やりこみ要素が未実装
物語は完結しているが、やりこみコンテンツや強くてニューゲームが未実装で、解放に必要なイベントやアイテムだけあり存在を匂わせて終わっている。後編配信とか言ってたのに未完結かと思ってびっくりしちゃったよ。
総評:良作
ヒゲは卒業制作とか言ってたけど、定期的にRPGを作って植松に曲を書かせてほしい。
老人向けの良質なRPGに仕上がっているが、配信形態が老人の嫌いそうなApple Arcadeなのがどうしようもない。