『BLUE REFLECTION SUN/燦』は本当に男性主人公である必要があったのか?(インプレ)(ネタバレ)

 『BLUE REFLECTION SUN/燦』は岸田メル×コーエーテクモゲームス×DMM GAMESがおくるヒロイックRPGである。スマホとDMMゲームプレイヤー向けに配信中。

 「男性主人公だしやめとくか……」と思っていたんだけど、ちょうどリリースから2日くらい暇だったので、少しプレイしてリリース初期時点で配信されているメインストーリーだけ確認しておいた。今回は折角なのでストーリーの感想をメインにインプレを書いておく。

 シリーズ作品のレビューはこちら。アニメも履修済みのシリーズファンです!!

ゲーム概要

 シリーズ最初の作品『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』(以下:幻)で、世界の管理者であるダアトを日菜子が倒したため、世界がぶっ壊れた(ダアトは人間の意識を1つに統合しようとしてたので、倒さなくても詰んでた)。それによって降り始めた「灰」が原因となって「異灰(テスタ)」と呼ばれるモンスターや「灰病」という不治の病が蔓延る世界で、灰病の副作用かなんかで特殊な能力に目覚めた女の子たちが「イローデッド」に変身して戦うお話。
 ゲーム的にはガワがブルリフの量産型ソシャゲ。シナリオを細かく区切ってクエストを挟むというあまりにもオールドタイプなやつ(通称:ワイバーン)。戦闘は『幻』寄りのターン制。ガチャはキャラの衣装違いとフラグカードという装備品。ガチャが2種類で儲けも2倍だ!イベント特効ガチャもあり。

特攻ボーナス

 令和だぞ~?しかもイベントシナリオが無すぎて読んでて意識を失った。

戦闘

 ターン制のコマンドバトル。ターンが回ってきたキャラからコマンドを入力する、SPDは順番に関係するけど行動回数は増えないタイプ。各キャラクターに紐づいたスキルが1つ、装備したフラグカードに紐づいたスキルを2つ使用できる。スキルのクールダウンはそれぞれ別で、通常攻撃をすると回復する。オート戦闘がスキル溜まってても通常攻撃ばかりする無能なのはもう少しなんとかしてほしかった。属性相性は火→風→土→水→火とシンプルだが、影響がかなり大きく、幅広くキャラクターを育成する必要がありそうだ。火属性のキャラクターも土属性のフラグカードを装備すれば土属性の攻撃で水属性モンスターの弱点を突くことができるが、弱点属性の敵からの攻撃は痛すぎてお話にならない。
 フラグカードはガチャ依存だが、回復やバフなど種類が豊富でキャラクターのカスタマイズ性が高く、戦闘は『BLUE REFLECTION TIE/帝』(以下:帝)よりは面白いかなと思った。敵のデザイン次第で『幻』より面白くなるかも。ちなみに、ガチャはキャラクターとフラグカードが両方出る闇鍋式で、ピックアップだけキャラとカードで別ガチャ扱い(天井も別)。

育成

強化

 「キャラクターレベル」「フラグカードのレベル」「フラグカードのスキルレベル」「武器のレベル」と、別ページで「ココログラム」を育成可能。武器はクエスト等で手に入る素材から作成する。キャラクターレベルだけクエストクリアでも経験値が入る。

春日詩帆

 フラグカードは装備するとステータスも上がる。カードのレベルを上げるとステータスも伸びていくので、たくさん育成する必要がある。装備枠がどうすると増えるのかは忘れた。レベルとか凸かな。キャラ凸のシステムはプリコネ。フラグカードも重ねると最大レベルが上がる。ガチャを回すと強くなる。

 ココログラムはデートで手に入るハートを使うスフィア盤。ハートはなぜかデートだけじゃなくて強化クエストとかでも手に入る。基本的にステータスを上げるマスしかなく、1つの方向に1種類のステータスが固まってるのでルートとかも考える必要はない。できれば持っている素材で埋められるだけマスを埋めるボタンとか欲しかった。

バトルコンテンツ

 メインクエストにハードクエスト(1日10回)、スタミナ無料で1日3回の強化クエストが4種類(多い)、1戦ごとに報酬が出る100階層のタワー、非同期対戦のランク戦がある。イベントクエストは周回して累計ポイントと交換ポイントを稼ぐタイプだった。

エール選択

 ランク戦ではなぜか対戦相手にエモートを送ると報酬が増える。

デート

おでかけ

 男と女がデートする。デート先でプレゼントを渡してヒロインレベルを上げたり、ココログラムの成長に使うハートを貰ったりする。ヒロインレベルが上がると……エピソードが見れる?同じ場所に何度もでかけてスポットRankを上げると、そのスポットのデートエピソードが見れたり、次のスポットが開放される。デート会話は1種類しかないっぽく、プレゼントを渡すために何回も同じ会話を見ることになる。流石に力を入れている部分なのかエピソード自体はたくさん用意されているっぽいが、男性主人公ありきの内容なので全く面白くない。この主人公で帝の手繋ぎデートが続投されてたら脳が破壊されていたのでそれはなくて命拾いした。

ブルリフSは本当に男性主人公である必要があったのか?(ネタバレ)

コモン?

 「仲間を強化する力」を持つ主人公(以下:燦太郎)は、チームワークがバラバラの「史上最弱の特殊部隊」にリーダーとして赴任。女の子たちの間で起きている問題を解決し、部隊で唯一の男性としてチームをまとめ上げていく。

 燦太郎はかなり人格を持ったキャラクターとして描かれており、自分の言葉でストーリーを引っ張っていく。プレイヤー自身を投影するにしては自我がありすぎる。自我はあるが燦太郎だけボイスがないので、ストーリーをオートで再生してると微妙に話が入ってこない。

 燦太郎は仲間を強化するだけでなく、『幻』の日菜子のようにキャラクターの深層心理の世界に踏み込むことができる。背景とBGMがコモンと同じだったのはファンサービスか?『幻』のファンが男性主人公を歓迎していると思われている?

 「違和感」を出すために男性主人公にしたらしいが、現時点ではその違和感がポジティブに働いているシーンは見受けられなかった。燦太郎に難色を示している層が伏線を回収するまで黙ってプレイしてくれると思っているのだろうか?ましてや、課金に繋がるとは到底思えない。僕がストーリーを読んでみたのも、初期実装分で燦太郎があわよくば退場するのを期待してたからである。

わたしと結婚して、
アダムとイヴになろう?

 初期実装分で男性を意識したシーンといえば、4章冒頭の回想(?)シーンの「二人で子供、作らない?わたしと結婚して、アダムとイヴになろう?」だろうか。画像の「破滅の刻を紡ぐ少女」は特殊部隊の8人のうちの誰かで、リーダーである燦太郎のことが好きだったという、世界のループ前を暗示させる意味深なシーンである。
 でもこれ、百合脳からすると女同士でも成立するよね?としかならなかった。というか『よるのないくに』あたりで見た気がする。流石だぜガストちゃん。女女で子作りなんてガスト内では安直なので逆に男女だと新しいと思ったのかもしれない。本当にそうか?

ライターの「男性じゃないとできないこと」観が古い説

 実装済みの話だけでも燦太郎はバラバラで全然仕事していなかったチームをまとめ上げ、今まで1体も倒せていなかったという「クイーン」を3体撃破し、当面の目標である「コズミックファング」の奪還に動き始める。これって、燦太郎を上げるために女の子たちが不当に下げられてないか?男が女を導かなければいけない!みたいな、あまりにも現代にそぐわない価値観の下に書かれているように感じる。

 詩帆を始めとして、部隊の女の子全員が燦太郎のことを恋愛対象として見ているのも居心地が悪い。女の子同士の交流エピソードもあるが、「でもこいつら全員燦太郎のこと好きだしな」と思うと全くキマってこない。百合とヘテロは共存しないということを実感させられた。

 というか、『幻』の日菜子はそんなでもないけど、燦太郎より『帝』の愛央の方が男らしくてカッコいいまである。「愛央なら許せるのにな~」と思いながらシナリオ読んでたよ!

既存ファンを切り捨て、開拓に踏み切った説

 基本無料ということもあり、今作はそれほど興味がない人でも手に取りやすい。生息数の限られている百合のオタクよりも、数で勝る一般人を相手に商売をしようと思ったのかもしれない。公式Twitterもひたすらアマギフ配ってたし。アマギフ配りって懸賞アカの間でRT回るだけな気がするけど本当に効果あった?

 ブルリフシリーズとしてみれば戦闘など良くなっている部分はあるけど、はっきりいってソシャゲとしては優れていると思えない。スマホに数ある美少女ゲーの1つとして、同じ土俵で勝負していけると思ったんだろうか。

 新規プレイヤー向けとしては、シナリオに既存ファン向けの要素が多い。駒川詩の登場は『帝』のプレイヤーや『澪』の視聴者にはとても興味深いし、安住菜々花の最悪家庭環境は『澪』の特産物だ。そもそも、本作の時系列は『幻』『澪』より後で『帝』より前という位置づけである。百合のおたくじゃないけどストーリーが好きなやつはついてこい!ってこと?

過去作キャラに参戦してほしくない

 燦太郎の情報が公開される前は「ソシャゲでブルリフお祭りゲー!紫乃ちゃんプレイアブル実装して!」くらいに思っていたが、今となっては過去作キャラは誰も実装してほしくない。燦太郎と絡ませないでくれ。そんなソシャゲある?

さよならブルーリフレクション

 ここまでブルリフシリーズを楽しんできたファンとしては残念だけど、ターゲットではないみたいなので仕方ない。僕のブルーリフレクションはここまでだ。あとはヘテロのみんなで支えたり支えなかったりしてくれ。

 まあ『幻』は百合ゲーというより「女しか出てこないおっさん向けゲーム」という感じだったけど、『帝』は百合に振り切ってたじゃない!『幻』の頃から男性主人公を考えてたと言われても、シリーズに定着したファンがそれを飲み込むかは別の話なんだよ。