カリギュラオーバードーズ レビュー

おかえりキミの為のクレイドル。

PS4「カリギュラオーバードーズ」はフリューのジュブナイルRPGでPS Vita「カリギュラ」の過剰強化版。
前作は1周だけしたけど、BGMとストーリー以外は残念な出来だった。
今作は100時間プレイの3周してトロコンまでしたのでガッツリレビューしていく。

ストーリー

現実でツライことがあった人が囚われる楽園「メビウス」
とあるきっかけでメビウスが現実ではないと気づいた主人公と仲間たちが現実に帰るために楽士と戦ったり自分のトラウマと向き合ったりする。

楽士ルート

メビウスを維持するために主人公たち帰宅部と敵対する学士たちとODでは謎の楽士Lucidとして手を組むことができる。
楽士「ルート」とは公式で言ってるものの、通常の帰宅部ルートの間に楽士イベントが挟まる感じの構成になっていて、どっちのストーリーもプレイしていくことになる。分岐するのは実質最終決戦とエンディングのみ。
楽士シナリオは「メビウスを安定させるためにラガード狩りをする」というもので、毎回「待ち伏せ作戦」をしている帰宅部と戦うことになる。帰宅部ルートと同じダンジョンを歩くことになるが、帰宅部より個性的な楽士たちのキャラクターが掘り下げられるので結構楽しい。
スイートPとイケPが常識人で他が変態…みたいな会話がいちいち面白い。イケPは個別シナリオでもめっちゃいいやつ。
楽士ルートのラストはプレイヤーの選択に対しての帰宅部のキャラクターの気持ちを聞かされることになる…という意図だと思った。何も解決しない選択をプレイヤーの興味本位で取られる、一見しょうもない結末だけど、これがカリギュラ効果ってやつか。

追加シナリオ

ODの追加キャラ・シナリオは1つの事件が中心となっている。帰宅部・楽士の両サイドから真相に近づいていくのは面白かった。

戦闘

戦闘はタイムライン式で敵味方入り乱れて行動する。イマジナリーチェインという行動予測を駆使してカウンター、ガード、移動などを行ない戦闘を有利に運んでいく。要素要素は面白いのだが、不便だったりストレスを感じる部分が多く、どうも完成度が低い気がする。
ボス戦はハードだと敵と同レベルくらいじゃないと勝てない良い感じのバランスではあった。

イマジナリーチェイン

行動を選ぶと攻撃なら必ず当たった時の敵HPや吹っ飛びの予測が見られる。それを見ながらコンボを組み立てていく。1キャラ3回まで行動を入力できて、パーティは4人なので雑魚戦まで全部イマジナリーチェイン見てコンボ組み立ててたら大変すぎる。

リスク

敵を攻撃したりリスクが上がる技を当てると敵ごとにあるリスクゲージが上がっていき、一定になるとリスクブレイク状態になる。リスクブレイク状態になると敵の行動がキャンセルされ、ダメージが倍になったりする。

オート戦闘

多分ODからの新要素だったと思うのだが、主人公以外のキャラをオートにできる。しかしこのオート、やっつけ実装すぎなのでは…
完全ランダムで攻撃技を1つだけ選ぶ。敵がどんな状態か全く判断しないのでダウン限定技とかを選んでずっと待機していたりする。SPが切れた時だけチャージを使う。
といった感じなので、難易度イージーで主人公一人で倒せる雑魚戦くらいでしか使えない要素だった。まあレベル上げが楽になったのは前作よりマシだけど。

敵の初手がやたらバリア

これがマジでおっきい文字にするくらいストレス。ガード破壊技以外は全て無効にされるし、オートは当然のように反応しない。主人公はガード破壊技を持っているのだが、発動があまりにも遅いのもストレス。イージーで1発で倒せるような敵でもバリアの発生が早くて絶対に対処しないといけないのでテンポが悪くなる。

命中率の上限がなぜか95%

どんなに命中率を上げても20回に1回は外れてイマジナリーチェインで組み立てたコンボが失敗する。どうしてそんな仕様にした?

バフ・デバフがめっちゃ強い

ボス戦ではバフ・デバフを意識した立ち回り、編成をすると結構楽になったりする。こういう要素は楽しい。

キャラクター

キャラゲーとしては100点を超えている。

WIRE

LINEみたいなアプリらしく、キャラクター個別に質問したり、現在の状況に応じてグループ会話ができる。最近のドラクエのはなすに近い。
これが楽士側にもあるのが非常に素晴らしい、ウィキッドとお話できる!!シーパライソの水族館で好きな魚を聞く会話がめっちゃ好き。

歌姫の見る夢

クリア後の隠し要素で、帰宅部と楽士を同時にPTに編成できるようになる。すごいと思ったのが帰宅部と楽士で戦闘中の掛け合いがあること。これがあるのを確認した時、僕の中でキャラゲーとして100点を超えた。まさに歌姫の見る夢。
どういう状況でPTを組んでいる認識なのかわからないが、普通に仲間っぽく接してたりめっちゃ仲が悪かったりで面白い。ウィキッドと笙悟の「土下座しろぉ!」「目に焼き付けておけ!」って掛け合いが好き。するのかよ土下座。

キャラクターシナリオ

仲間になるキャラクターはそれぞれ親密度を上げると8段階のストーリーでトラウマを覗き見ることができる。心への踏み込みをキャンセルするキャラとか新しくいたら面白そうだったけど無かった。シナリオはだいたい現実に戻った後に上手くやれるように気持ちを整えていくポジティブなもの。
親密度が最大になったキャラは主人公との掛け合いが変化する。こういうところ本当に良い。

若干名使っていたキャラの使用感など

峯沢 維弦

敵のリスク次第で追撃がどんどん発生していくキャラ。オート適正が高い。バフスキルのセンスオブジャスティスが攻撃+命中アップの上にインクリースパワーと重複するので強い。

巴 鼓太郎

拳を使った近接攻撃のスペシャリスト…と思いきや、ソウルシングラーという単体攻撃大アップの強力なバフを持ったバッファー。維弦のバフとも重複する。自分は攻撃せずにバフを撒いていた方が強い。

天本 彩声

公式にデバッファーと紹介されていた気がするが、強烈なアタッカー。追撃が発生した時の「天誅!」が可愛い。ダウン限定があるのでオートだと使いにくい。オーバードーズスキルが全体攻撃なのでバフを炊いた後に使うと全員死ぬ。
女性主人公でプレイしている場合、親密度が★になると掛け合いが勘違い女になってとても良い。キャラシナリオも男主人公だと借りたハンカチを新しく買って返すだけだが、女主人公の場合は指輪をプレゼントされる。重い女。あとCVが長縄まりあさんなんだけど、演技が水瀬いのりさんっぽくない?(早口)

ウィキッド

SPの燃費が悪いが無条件打ち上げ+リスク付与、ダウンしてても当たる攻撃+リスクで追撃、空中にずっと浮かせ続けることができる怒涛の連続攻撃などを持つ強キャラでかわいい。

親密度上げで一通りのキャラは使ったけど特に強かったのはこの辺だった。ソーンとかは意外にも技の威力が低くて弱い。スイートPとStorkはどうしようもなく弱い。

BGM

上田麗奈さんのファンはそれだけで買いのBGMの数々。歌ものは全部当たり。特典CDのために初回物理版買っておいてよかった。楽士ルートラスボスの曲もとても良い。楽士ルートでキャラクターシナリオを経た後の2曲目とかがあったら更によかったなぁ。

やりこみ・トロフィー

1周目女主人公で、男女両方でクリアするトロフィーがあったので2周目男主人公、そして彩声との掛け合いが聴きたくなったので3周目を女主人公でプレイした。1周目は難易度ハード、2周目~は難易度イージー、敵のレベル+100
周回前提のトロフィーがある割には、あまり周回向けのゲームではないような気がした。まずこのゲームの面白い所といえばシナリオなのでシナリオをスキップすると微妙な戦闘しか残らない。
メインキャラクター以外の因果系譜は引き継ぎされるが、帰宅部と楽士の親密度は上げ直し、奥義スキルを忘れているのでキャラクターシナリオも最初から見ることになる。キャラクターシナリオは場所移動を挟むと短くないロードが入るのでシナリオスキップしてると延々とローディングを見続けることになって辛い。一体僕は何をプレイしているんだ…。

レベルが100以上まで上がり、難易度を4段階から選べるが高難易度を選んでも敵が強くなるだけで特にメリットがない…。なんかご褒美がほしいところだったなぁ。
敵がスティグマ(装備品)を落とすのがハクスラ要素あるかな?と思ったけど、+1と+3しかないみたいなのでそこまででもなかった。
そんな感じで、戦闘面のやりこみはいまいち物足りない。

トラウマクエスト

500人くらいいる一般生徒全員にトラウマクエストがあり、悩みを解決するとパッシブスキル(装備アイテム)が貰えたり、主人公の能力が上がったりする。
これ、クエストの種類かなり少なくて同じ悩みの生徒がめっちゃ多いのでかなりアホらしい。なんで500人にした。

ワールドリワード

インターネットで協力して、ザコ敵が稀に落とすキーワードを集めてボスに挑むコンテンツ。Vita版ではダンジョンだったんだけど今回は扉をあけたらすぐボスがいて倒すだけ。ボスはレベルの高いザコ敵なので浮かせれば無力化できる。楽士のコピーみたいなやつはボス属性持ち。ネットにキーワードは全て揃っていたので消化作業だった。

どの項目とも関係ないんだけど、セーブポイントがやけに多いのが気になる。戦闘で負けるとゲームオーバーになってセーブしたところからになるからなんだろうけど、ここまでセーブポイント増やすならもう死んだ時のペナルティなくしたほうが早くない?と思った。

おかえりキミの為のクレイドル

そんなわけで、戦闘にはまだ難があるがキャラクターや楽曲、ストーリーは非常に魅力的で人にもオススメできる出来に仕上がっていたと思う。アニメで気に入ったキャラクターとかいた人はプレイしてみてはどうだろうか。